社会人学生のリアル【子どもが生まれた年に国家試験を受けた話】
看護学校の在学中に、子どもが生まれました。
しかも、生まれたのは1月。国家試験まで約1ヶ月というタイミングでした。
「大変だったでしょう」とよく言われます。でも正直に言うと、人生で一番充実していた時期のひとつだったかもしれません。
この記事では、その頃のことをそのまま書きます。看護学校を目指している社会人の方、在学中に家族の変化があった方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
妊娠が分かったとき
正看護師学校の2年次、最初期のことでした。
授かるまでに時間がかかったこともあり、妊娠が分かったときは喜びもひとしおでした。
そしてその瞬間、不思議と気持ちが引き締まりました。「しっかり勉強して、正看護師になろう」という気持ちが、今まで以上に強くなったのです。
嬉しいことが、勉強への動機になる。そういうこともあるんだと、このとき初めて実感しました。
妊娠中の学校生活【学生でよかった】
妻は産休に入るまで、仕事を続けることができました。
私は学生でした。夜勤もなく、カレンダー通りの生活です。授業が終われば家に帰れる。残業もない。
だから、家事を率先してできました。買い物、料理、掃除。妻が仕事から帰ってきたとき、できる限り負担を減らしたいと思っていました。
体調が優れない日もある妻を、じっくりサポートできたのは、学生という立場だったからこそだと思っています。
「学生でよかった」と、心から思いました。
子どもが生まれてから国試まで【怒涛の1ヶ月】
1月の初め、子どもが生まれました。立ち合い出産ができたのも、忘れられない経験です。
学校は冬休み中でした。妻が入院している病院へ毎日直行しましたが、面会時間は限られていたため、子どもとはまだ少ししか会えませんでした。それでも、小さな命に会えるその時間が、何よりも幸せでした。
退院後は、妻の実家に一緒に寝泊まりしました。義理の父母のサポートにも、本当に助けられました。
日中は学校。夜は夜泣きの抱っこ、おむつ替え、ミルクのサポートをしながら、睡眠不足の妻を助けました。
勉強する時間は、隙間時間を積み重ねました。
朝は早めに登校し、誰もいない寒いロビーで始業前に数十分勉強しました。寒い方が眠くならないので、あえてそこを選びました。休憩時間はほぼ毎回、図書室で過去問を解きました。
それでも不思議と、苦にはなりませんでした。子どもが生まれた高揚感が、しんどさを上回っていたのだと思います。
実は、出産前から計画的に勉強を進めていました。子どもが生まれたら勉強時間が削られることは分かっていたので、1月ごろに多少おろそかになっても大丈夫なくらい、前倒しで仕上げておいたのです。
最後の1ヶ月は、過去問の繰り返しと、苦手だった母子看護学の克服に集中しました。妻がまさに出産を経験したばかりという状況が、教科書の内容をリアルに感じさせてくれました。
国家試験当日【某うどん県にて】
試験は、某うどん県で行われました。
学校のサポートは万全でした。クラスメート全員でバスに乗り、高速を走り、前日にホテルに宿泊するという体制を整えてくれていました。
前日のホテルでは自由時間がありました。ほかの同級生はみな勉強していましたが、私は近くにある有名なうどん屋さんに行きました。それくらい、気持ちに余裕がありました。
試験当日も、平常心でした。ただ、気づいたら子どもの写真をよく見ていました。意識していたわけではなかったけれど、心のどこかで安心を求めていたのかもしれません。
試験が終わったとき、解放感しかありませんでした。
帰りのサービスエリアでは、みんなでお土産を買いました。車内には、互いの労をねぎらうような、晴れ晴れとした雰囲気がありました。あの帰り道のことは、今でもよく覚えています。
合格発表【クラスメート全員合格】
試験の翌日、解答速報をもとに自己採点しました。問題用紙は持ち帰ることができます。そこで合格をほぼ確信しましたが、それでもやはり、通知が来るまでは疑心暗鬼な部分がありました。
数日後、合格通知のはがきが届きました。このとき初めて、本当に合格したのだと実感しました。妻も一緒に喜んでくれました。
自分の合格も嬉しかったです。でも、それ以上に嬉しかったのは、クラスメート全員が合格したことでした。
私たちの学校では、試験対策はグループ学習が中心でした。できる学生とそうでない学生をまぜ、4〜5人で教え合う形です。教わる側だけでなく、教える側も理解が深まる。とても良い方法だと思いました。グループの中で、教える役割を担うことが多かったこともあり、全員合格はひとしおの喜びでした。
社会人学生のあなたへ
看護学校在学中に、妊娠・出産・育児・国家試験が重なりました。傍から見ると大変そうに見えるかもしれません。
でも、振り返ると、それぞれの出来事がうまく絡み合っていたと思っています。
妊娠が分かったことで勉強への動機が高まり、学生という立場が妻のサポートを可能にし、子どもが生まれた高揚感が国試前の睡眠不足を乗り越えさせてくれました。
人生の転機が重なることがあります。でも、それが力になることもあります。
今まさに、仕事や家庭のことを抱えながら看護学校を目指しているあなたへ。
学生という立場は、思っているより融通が利きます。そして、大変な時期ほど、人は意外と強くなれます。