精神科病院への転職【急性期ナースが給与明細を持って面接に行った話】
「精神科への転職、実際どうだった?」
そう聞かれることが増えました。精神科の仕事内容や向き不向きについては、別の記事で書きました。この記事では、転職活動のプロセスに絞って書きます。求人の探し方、給与の比較方法、病院見学と面接のリアル、そして転職後の本音まで、包み隠さずお伝えします。
精神科への転職を考えている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
転職の目的を決めた【これが全ての羅針盤になった】
転職を考え始めたとき、まず自分に問いかけました。「何のために転職するのか」。
私の答えははっきりしていました。子どもとの時間を増やすこと。家族との時間を取り戻すこと。それだけでした。
転職活動を始めると、様々な求人が目に入ってきます。給与が高い病院、設備が整った病院、福利厚生が充実した病院——あれもこれも良く見えてきて、どうしていいかわからなくなる瞬間があります。
そんなとき、「子どもとの時間が増えるか」という一点に立ち返ることで、迷わずに済みました。
転職を考えている方に伝えたいのは、条件を比較する前に、転職の目的を言語化しておくことをおすすめするということです。目的が明確であれば、迷ったときの羅針盤になります。
求人はハローワークのサイトで見つけた【病院HPだけでは情報が不足することがある】
気になる病院があったので、まず公式ホームページを確認しました。しかし情報は古く、採用情報には「現在、新規採用の募集は行っておりません」とあるだけでした。
病院によっては充実したホームページを持っているところもあります。ただ、私が気になった病院のホームページは情報が古く、ホームページの情報だけでは判断できませんでした。自宅からハローワークのサイトでオンライン検索すると、その病院の求人情報がきちんと掲載されていました。
わざわざハローワークに足を運ばなくても、自宅から検索できます。ホームページが更新されていなくても、諦めずにハローワークのサイトも合わせて確認することをおすすめします。
また、その病院に勤務経験のある友人から「定時で帰れる」という話を聞いていたことも、応募を決めた大きな理由でした。転職サイトの情報よりも、実際に働いたことのある人の口コミは、何よりも信頼できる情報だと改めて感じました。
給与はトータルで比較した【部分で見ると判断を誤る】
転職で気になるのが給与です。しかし、基本給だけを見て判断するのは危険だと思っています。
私がやったのは、前職場と転職先の条件を全て書き出して横に並べることでした。比較した項目はこうです。
- 基本給
- 各種手当(住宅手当・職務手当・夜勤手当など)
- 昇給
- 賞与
- 年間休日
- 駐車場代
- 差し引かれるもの(組合費など)
私の場合、基本給は下がりました。しかしトータルで見るとこうなりました。
| 項目 | 前職 | 転職先 |
|---|---|---|
| 賞与 | 3.5ヶ月 | 4.5ヶ月 |
| 住宅手当 | 1.2万円 | 2.9万円 |
| 職務手当 | なし | 2.5万円 |
| 夜勤手当(準夜) | 5,000円 | 5,000円 |
| 夜勤手当(深夜) | 7,000円 | 7,000円 |
トータルで計算すると、手取りはそれほど変わらないことがわかりました。
これはあくまで私の場合の数字です。病院によって手当の種類や金額は大きく異なります。ただ、「基本給が下がる=収入が下がる」とは限りません。部分で見るのではなく、トータルで判断することをおすすめします。
もう一つ、忘れがちですが通勤時間も大切な条件です。私の場合は片道約20分で、前職とほぼ同じでした。通勤時間が長くなれば、その分家族との時間は削られます。給与と同じくらい重要な条件だと思っています。
病院見学と面接のリアル【拍子抜けした話】
求人を確認した後、直接病院に電話をかけて病棟見学をお願いしました。看護部長さんが対応してくれ、一通り病棟を案内してもらいました。
見学中、気にしていたことがあります。スタッフが挨拶してくれるかどうかです。
業務中にこちらを見て、きちんと挨拶してくれるスタッフが多かったです。挨拶は人間関係の基本です。忙しい中でも挨拶ができるということは、職場に余裕がある証拠だと感じました。もっとも、看護部長と一緒に回ったからかもしれませんが、それでも印象は良かったです。
偶然にも、その看護部長さんは、看護学校で精神科看護を教えてくれていた先生でした。そんな縁もあって話が弾み、面接を受けることになりました。
面接は、会議室で看護部長さんと事務長さんとフランクに話をするような雰囲気でした。事前に病院の理念などを調べて臨んだのですが、正直拍子抜けしました。それほど形式ばったものではありませんでした。
面接には、前職場の給与明細と源泉徴収票を持参しました。「今これだけもらっていますので、これに近い条件でお願いできないでしょうか」と希望を伝えました。基本給については「決まっている」と断られましたが、事務長さんがその場で手当を含めた総収入を計算してくれ、前職とそれほど変わらないことを説明してくれました。自分の予想と一致していたことで、安心して入職を決めることができました。
転職後のリアル【後悔したこととよかったこと】
後悔していること
正直に言います。基本給の低さと昇給の少なさは気になっています。転職して2年目になろうとしていますが、いまだに前職場の新入職員以下の基本給です。ボーナスも基本給をベースに計算されるため、その分抑えられてしまいます。
看護技術の出番が減り、スキルや知識が落ちてきたことも感じています。久しぶりに抗生剤の点滴をしたとき、「これは前後フラッシュが必要だったかな?」と迷う場面がありました。その一方で、精神科の薬や疾患への知識は確実に増えました。失うものがあれば、得るものもある。それが転職というものかもしれません。
それでも、トータルではプラスだと思っています
基本給の低さは正直気になります。でも、サービス残業がなくなり、ほぼ定時で帰れるようになりました。家族との時間が増えました。前職場では当たり前だったサービス残業が、今の職場にはありません。何を優先するかで、正解は変わります。私にとっては、この転職はプラスだったと思っています。
急性期のスキルは精神科で活きています
精神科では薬の副作用で便秘になる患者さんが多く、ひどくなるとイレウスになることもあります。尿閉になる方も多いです。内科での経験がそのまま活きています。急変対応にも慣れているため、頼りにされる場面が多いです。
一般科から精神科の順番でよかった、と心から思っています。
精神科への転職を迷っているあなたへ
今の職場で「自分は大したことない」と思っていても、精神科に来ると予想以上に頼りにされます。今苦労していることは、絶対に無駄になりません。
精神科以外への転職を考えている方にも言えることです。今の職場で培ったスキルは、新しい職場でも必ず活きます。必要な知識があれば、新しい職場で学べばいいのです。何とかなります。
まとめ
- 転職前に「何のために転職するのか」を言語化しておきましょう
- 病院のHPが古くても、ハローワークのサイトで確認しましょう
- 給与は基本給だけでなくトータルで比較しましょう
- 見学時はスタッフの挨拶や雰囲気を観察しましょう
- 面接には給与明細と源泉徴収票を持参しましょう
- 今のスキルは必ず新しい職場で活きます