介護士が看護師国試で有利な科目【現役看護師が経験から解説】


介護士から看護師を目指すとき、こんな不安が頭をよぎらないだろうか。

「国試、本当に受かるのかな」「介護の知識って、看護師国試に使えるの?」

結論から言う。介護経験者には、明らかに有利な科目がある。そして正直に言うと、まったく歯が立たない科目もある。

この記事では、介護福祉士から看護師になった現役看護師として、国試で有利だった科目・苦労した科目を、経験からそのまま書く。

介護経験者が有利な科目

老年看護学

介護の仕事は、高齢者と向き合う仕事だ。その経験が、老年看護学でそのまま活きる。

授業を受けていても、問題を解いていても、「ああ、そんな人いたな」とイメージがすぐに浮かんだ。イメージできるということは、記憶に定着しやすいということだ。

たとえば、高齢者の加齢に伴う身体変化の問題。難聴のある患者さんへのコミュニケーション方法。アルツハイマー型認知症の初期症状。これらはすべて、介護現場で身をもって経験してきたことだ。間違えようがなかった。

家族支援の問題も、「ああ、こんなことがあったな」と自然に想起できた。介護経験者にとって、老年看護学は最も得点しやすい科目のひとつだと思う。

地域・在宅看護論

老健は、病院と在宅の架け橋と言われる施設だ。退院前の自宅訪問に同行した経験もある。

在宅での生活をイメージする力は、介護経験者の強みだ。訪問看護・在宅ケア・介護保険サービスの連携といった内容も、現場感覚として持っている。授業で初めて習う学生と、すでに現場で見てきた介護経験者とでは、理解の深さがまるで違う。

基礎看護学

基礎看護学は、介護福祉士の領域と重なる部分が多い。体位変換、清潔ケア、移乗介助、コミュニケーション技術。介護現場でやってきたことが、そのまま問題に出てくる。

なかでも強いのは、体で覚えた知識だ。

たとえば、脳梗塞後の患者さんの更衣では「健側から脱ぐ」。これは介護現場で実際にやってきたことだ。頭で覚えたのではなく、体で覚えている。

国試本番は、一発勝負の緊迫した場だ。しっかり頭で覚えていたことでも、頭の中が真っ白になり、自分の記憶に自信が持てなくなることがある。そんなとき、体で覚えたことは消えない。目をつむって実際の動きを思い浮かべると、体も動く。そこに答えがある。「介護福祉士の自分、ありがとう!」と思った瞬間だった。

健康支援と社会保障制度

介護保険法・社会福祉制度・医療保険の仕組みは、介護現場で日常的に関わってきた内容だ。制度の名称や仕組みを一から覚える必要がなく、「知っている知識を整理する」感覚で進められる。

精神看護学(認知症・BPSD領域)

認知症ケアやBPSDへの対応は、介護現場で積み上げてきた経験がそのまま活きる。

ただし、注意が必要だ。統合失調症やうつ病の領域になると、介護経験はあまり役に立たない。暗記で得点はできるが、腹落ちしないまま覚えることになる。

介護施設にも精神疾患を抱えた高齢者はいる。統合失調症が高齢化し、認知症を発症したような方もいた。「なぜこのような状態なのか」と思いながらも、介護士としては深く踏み込む機会がなかった。今の知識があれば、もっと適切なかかわりができたと思う。

精神看護学は、認知症・BPSD領域は得点源にできる。ただし統合失調症・うつ・防衛機制・抗精神病薬は別物だと割り切って学ぶ必要がある。

介護経験者でも苦労する科目

解剖生理学・病態生理

介護の仕事は「生活を見る」仕事だ。看護の勉強は「なぜそうなるのか」を臓器レベルで理解することから始まる。

たとえば心不全。心臓で何が起きているのか、なぜむくみが出るのか、なぜ息苦しくなるのか。その仕組みを身体・臓器レベルで理解しておく必要がある。介護経験がいくらあっても、ここはゼロからのスタートだと思った方がいい。

解剖生理学は、看護のすべての基礎になる。ここを乗り越えられるかどうかが、看護学校での最初の関門だ。

薬理学

薬の名前が長い。一般名と商品名が別々に存在する。「統一してよ!!」というのが、正直な心の叫びだった。笑

ただ、実際の患者さんや利用者さんと結びつけてイメージすると、覚えやすい部分もある。介護現場で見てきた薬が出てきたときは、「あ、これ知ってる」となる。完全に苦手とは言い切れないが、楽ではない科目だ。

看護過程・関連図

関連図は、介護にはない概念だ。准看護師課程でも習わなかった。最初はかなり戸惑った。

介護でも利用者さんを総合的に見てケアプランを作成するが、看護過程はまるで別物だ。病態をベースに、今後どうなるリスクまでアセスメントして看護問題を設定していく。「これぞ正看護師の勉強だ」と思いながら、時間をかけて向き合った科目だ。

心電図・術後管理・ショック

介護経験はまったく役に立たない領域だ。心電図の読み方、術後の観察、ショックの病態と対応。完全に未知の領域として、一から学ぶ覚悟が必要だ。

介護経験者だけが持つ最強の武器

得意科目はほどほどに仕上げて、その分、苦手科目に時間を割く。これが介護経験者の国試攻略の基本だ。

介護経験のない受験生から見たら、「ずるい!」と思われるくらいの強みが、介護経験者にはある。

答えは、あなたの介護経験の中にある。自信を持って国試に向かってほしい。

※国試の勉強法全般については、こちらの記事で詳しく書いている。 → 看護師国家試験の勉強法【社会人が合格するためにやったこと】

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