介護士から看護師になって後悔はある?現役ナースの正直な答え
「介護士から看護師になって、後悔はありますか?」
そう聞かれることがあります。正直に答えます。
しんどいことは、確かにありました。心が折れそうになった夜も、何度かありました。でも、後悔はありません。
この記事では、私が看護師1年目に経験したしんどさと、それでも辞めなかった理由、そして今の答えを書きます。
しんどかったこと① 技術習得の緊張感
看護師になって最初の数ヶ月は、緊張の連続でした。
「自分は本当に看護師として働けるのか」。毎日そう思いながら出勤していました。
技術習得のプレッシャーは想像以上でした。見学して、指導者と一緒にやって、次は一人で実施する。指導者はチェックリストを手に、私の手順を確認します。「ここができていなかった」と、不合格で返されるチェックリスト。
そのたびに自己嫌悪に陥りました。
若い同期が難なくこなしているように見えました。「やはり年をとると覚えが悪くなるのか」「そもそも看護師に向いていないのではないか」。そんな考えが頭をぐるぐると回っていました。
しんどかったこと② 先輩看護師との関係
細かいことを繰り返し指摘してくる先輩がいました。
「なにくそ」と思いながら頑張りましたが、ボディブローのように少しずつ精神を削られていきました。「あの先輩のせいで何人も辞めている」と聞いて、さらにビクビクしていました。
ところが、退職するとき、一番残念がってくれたのはその先輩でした。
いつの間にかかわいがってもらっていたし、最後の方は頼りにもされていました。「厳しくされていた」と思っていた時間が、実は育ててもらっていた時間だったのだと、今は思っています。
しんどかったこと③ 初めての入院対応と、患者さんの死
入院を初めて一人で担当したときのことは、今でも覚えています。
その患者さんは、まもなく亡くなりました。
後から指導看護師に振り返りをしてもらいました。ある検査結果の数値が非常に悪かった。それに気づいて医師に報告していれば、結果が変わっていたかもしれない。「医師も指摘しなかったのだから、仕方ない部分はある」とフォローしてもらいましたが、表情は厳しかった。
また自己嫌悪に陥りました。「入院なんか取りたくない」と思いました。
「入院が来ました。取ってもらえますか」と言われるたびに、深い穴に落とされるような絶望感がありました。状態観察、家族や施設スタッフなど付き添いの方からの聞き取り、医師への報告と指示受け、スタッフへの申し送り。それらが終わってやっと記録ができる。自分の通常業務の記録も、まだ手つかずのまま残っています。入院イコール「帰れない」という絶望でした。
それでも辞めなかった理由
辞めようと思ったことは、正直あります。
でも辞めませんでした。理由はいくつかありました。
奨学金が残っていました。家族を支えなければという責任がありました。子どもはまだ小さかった。学生時代を支えてくれた妻に申し訳なかった。ここで辞めたら、何のために看護師資格を取ったのかわからない。
そして、あの日「なれるよ」と言ってくれた人を、裏切りたくなかったから。
正直に言えば、一番大きかったのは奨学金でした。「結局お金かよ」と自分でも思います(笑)。でも、それが本音です。お金の縛りが、結果的に自分を踏みとどまらせてくれました。
気づいたら、成長していた
いつの間にか、入院対応がそこまで苦にならなくなっていました。
ある日、後輩の採血がうまくいかず、「お願いできる?」と声をかけられました。新人のころ、私が先輩に助けを求めに行っていたのと、同じ状況でした。立場が逆になっていました。
誰の助けも借りずに、業務をこなせるようになっていました。何かに直面したとき、体が勝手に動くようになっていました。患者さんの入院から退院までの流れが、頭にぱっと浮かぶようになっていました。
後輩が入ってきて、あのころの自分と同じだなと感じたとき、「ああ、自分も看護師になれたんだ」と実感しました。
後悔はあるか?
ありません。
看護師になると決めていたから。しんどくても、慣れると信じていたから。あの日「なれるよ」と言ってくれた人を、裏切りたくなかったから。
今、精神科でとても頼りにされています。急性期で培った経験が、精神科でも活きています。どこに行っても大丈夫だという実感があります。
しんどかった時期があったから、今がある。遠回りしてきたから、今の自分がいる。そう思っています。
介護士から看護師を目指すか迷っているあなたへ。しんどいことは確かにあります。でも、乗り越えた先に、必ず成長した自分がいます。
まとめ
- 技術習得・人間関係・患者さんの死——しんどいことは確かにあった
- 辞めなかった理由は、お金・家族・あの人を裏切りたくなかった——本音で言えばお金が一番大きかった
- いつの間にか、頼られる側になっていた
- 後悔は、ない