准看護師と正看護師、どちらを選ぶべきか【経験者が本音で答える】
結論から言う。迷っているなら、正看護師を目指せ。
これが、准看護師を経て正看護師になった私の、偽らざる答えだ。
学びの深さが、全く違う。
准看護師課程で学ぶことは、概論的で表面的だ。悪い意味ではなく、入門としての役割を果たしている。しかし正看護師課程は、その内側に踏み込む。各論が深く、ボリュームがあり、専門的だ。
特に印象的だったのが、病態関連図だ。疾患に関する知識はもちろん、その人の人生歴、社会背景、家族関係、インフォーマル・フォーマルな資源、社会保険制度まで考慮しながら、関連図を何度も書き直し、深めていく。その過程で、情報収集能力が磨かれ、アセスメント力が育つ。そして最終的に、その人に合った個別ケア計画が作れるようになる。
計画を実行し、修正していくPDCAサイクルも、正看護師課程で初めて本格的に学んだ。准看護師の時には見えていなかった景色が、そこにあった。
お金と待遇の差は、想像以上だ。
准看護師と正看護師では、基本給が違う。基本給が違えば、ボーナスも違う。長い目で見ると、生涯賃金に大きな差が生まれる。
役職についても差がある。准看護師はリーダー業務ができなかったり、管理職になりにくい施設や病院が多い。もちろん施設によって異なり、かつては准看護師の師長もいた。私が勤めていた老健の師長も、准看護師だった。しかし今は、そういったケースは少数派になりつつある。
採用についても現実は厳しい。准看護師学校の同級生たちが就職活動をしていた時、採用担当に電話すると「准看護師は採用していません。正看護師を取ってから来てください」と言われることがほとんどだった。特に一般科はその傾向が強く、受け入れてくれたのは精神科だった。同期の3人が、精神科に進んだ。
正直に言えば、古参の准看護師にとっては複雑な部分もある。長年の経験があっても、正看護師で入ってきた若い子の方が給料が高い。そういう現実がある。尊敬できる准看護師は多くいるし、自分で学んで知識をつけてきた叩き上げの准看護師もいる。患者さんからすれば、誰が正看で誰が准看かなど関係ない。それでも、ヒエラルキーは存在する。
准看護師のまま、という選択肢も考えた。
准看護師のまま数年働き、条件を満たしたところで通信制の正看護師課程を受けようかとも考えた。実際、私の同期が今まさにその道を歩んでいる。
しかし私は、正看護師まで突き進む道を選んだ。理由はシンプルだ。もっと人の役に立ちたい。看護の道に進むからには、正看護師まで行こうと思った。
正看護師を目指すなら、早い方がいい。
これは綺麗事ではなく、本音だ。
年齢を重ねるにつれて、記憶力も落ちる。根気も続かなくなる。実習では「だいぶ年の人が来たわね」と言われることもある。「夢を叶えるのに、いくつからでも遅くはない」という言葉は美しい。でも現実として、早い方がいい。
准看護師学校もどんどん閉校している。私が通った学校も、今はもうない。正看護師に進んだ2年課程も閉鎖になった。私はたまたま、そのルートが残っているタイミングに間に合った。
今の職場にも、准看護師のまま正看護師を取らなかった人がいる。なぜ取らなかったのか聞くと、「面倒だった」「お金がなかった」「子育てに忙しかった」という答えが返ってくる。それぞれの事情がある。責めるつもりはない。でも、准看護師から正看護師へのルートは、確実に少なくなってきている。
もし今、あなたの前にそのルートがあるなら——それは最後のチャンスかもしれない。数年後には、その道がなくなっているかもしれないから。
迷っているあなたへ。
准看護師に満足せず、正看護師の道を探っているあなたには、十分な資格がある。くすぶっている思いがあるなら、その思いを不満のままにしておくのはもったいない。正看護師取得のパワーに変えてほしい。
10年後のあなたが、今のあなたに何と言うだろうか。「あの時動いて良かった」か、「あの時動けば良かった」か。その答えは、今日の選択が決める。
かつての私がそうだったように、一歩を踏み出せば、景色は変わる。